review 0057 : ルビキス オードゥパルファン / LOUBIKISS Eau de Parfum
【香水名】 ルビキス オードゥパルファン / LOUBIKISS Eau de Parfum
【ブランド名】クリスチャン ルブタン / Christian Louboutin
【発売年】2020年
【パフューマー】 ダフネ・ブジェ(IFF)
【香りのノート】フローラルウッディノート
【キーとなる香り】
ジャスミン、チュベローズ 、ムスク
【レビュー対象商品】オードゥパルファン 90ml 36,300円(本体価格)
※レビュアーが実際に試香した製品のみ記載しています。価格はレビュー当時のものです。
【オフィシャルサイト】
https://jp.christianlouboutin.com/jp_ja/loubikiss-eau-de-parfum.html
クリスチャン ルブタンから『ルビワールド フレグランスコレクション』と名付けられた新しいフレグランスコレクションが発売されました。今回は、クリスチャン・ルブタン氏自身がこれまで旅をしてきた世界中の特別な場所からインスピレーションを受けた、それぞれが少しエキゾティックで幻想的なニュアンスを持つ香りが提案されています。香りはその人を表すシグネチャー(署名)のような大切なもの。このコレクションではフレッシュフルーティシグネチャーからオリエンタルシグネチャーまでの7つのレンジが揃えられています。
ルブタン氏自身の幼い頃の香りの思い出は、太陽が照りつけると感じられなくなる雨が降った後の庭の匂いなどの飾り気のない自然の香りだそうです。『ルビワールド フレグランスコレクション』のそれぞれの香水にも、自然を感じさせる香りが取り入れられています。
さて、今、クリスチャン ルブタン ビューティのサイトには、『ルビワールド フレグランスコレクション』の中であなたに最適の香りを見つけるコーナーがあります。私もトライ。4つの質問に答えた後に提案されたのはフローラルウッディノートの『ルビキス』でした。
『ルビキス』は、ムエットにつけた瞬間からジャスミンとチュベローズが生花の花束のように香り立ち、とてもフレッシュな感覚を覚えます。トップノートから鮮やかなフローラルノートを感じる香水は意外と少ないので、花の香りの香水好きとしては、とても嬉しいのです。肌にのせると、香りはもう少し複雑な表情を見せます。軽いアニマリックノートが現れて、それは天然のジャスミンに含まれている獣臭というより、猫のお腹に顔を埋めた時のような、ゴージャスだけどどこか安心するような柔らかいファーのような香りです。このように素敵に香りをアレンジするのはパフューマーの技術ですね。
『ルビキス』は、グルノーブル生まれ、ジュネーブ育ちの女性パフューマー、ダフネ・ブジェによる調香です。彼女は10際の時にパフューマーの仕事に興味を持ち、その何年か後に家族旅行で出かけた香水の都グラースで、国際香水博物館のガイドツアーに参加します。そのツアーの最後にパフューマーの仕事についての説明を聞いた彼女はISIPCAに進学することを決め、卒業後は順調にキャリアを重ねて、私も2004年頃から彼女の名を目にするようになりました。『ルビワールド フレグランスコレクション』では『ルビドゥー』、『ルビラージ』、『ルビクロック』の調香を担当されています。
最初ボトルデザインを見て「スカル?」とドキッとしたのですが、メキシコの死者の日に街中を飾るカラベラ(スペイン語で頭蓋骨の意)がモチーフとのこと。10月の終わりから11月の初めにかけて行われるこのお祭りでは、祭壇の飾りや雑貨、食べ物までがカラフルなスカルモチーフになります。若い女性たちがスカルのフェイスペイントをして出かける様子はキュートで魅力的。『ルビキス』のボトルの真っ赤なルージュを塗って、花を飾ったスカルを見ているうちにだんだんと愛おしくなってきました。ジャスミンの香りが贅沢に感じられるのに重くならないのは、こんなコケティッシュなイメージを香りに取り入れたからでしょうか。
2010年の春分の日にモンテカルロで行われたモナコ公室主催のLe Bal de la Rose でルブタン氏のお姿をチラリと拝見したことを思い出しつつ。クリスチャン ルブタンの魔法の世界を楽しんでいます。
レビュアー 地引 由美 Yumi JIBIKI 2020年11月