review 0062 : アクア アレゴリア フローラ サルヴァジア / AQUA ALLEGORIA FLORA SALVAGGIA
【香水名】アクア アレゴリア フローラ サルヴァジア / AQUA ALLEGORIA FLORA SALVAGGIA
【ブランド名】ゲラン / GUERLAIN
【発売年】2021年5月1日(土) ※2021年4月12日(月)先行発売 ラ ブティック ゲラン GINZA SIX ・公式オンラインショップにて
【パフューマー】ティエリー・ワッサー / Thierry WASSER、デルフィーヌ・ジェルク / Delphine JELK
【香りのノート】ブライト フローラル
トップノート:ウォーターメロン、バイオレット
ミドルノート:ジャスミン、オレンジブロッサム
ラストノート:ホワイトムスク、アイリス
【レビュー対象商品】オーデトワレ 75ml / 9,900円(税込価格)
※レビュアーが実際に試香した製品のみ記載しています。価格はレビュー当時のものです。
【オフィシャルサイト】
https://www.guerlain.com/jp/ja-jp/fragrance/collections/aqua-allegoria/
1999年、アクア アレゴリアシリーズの発表は驚きと感動を持って受け入れられました。ナポレオンの時代からの伝統を継ぐ香水の老舗、ゲランの香りを纏うことは誇らしく、それが故にどこか畏まるような気持ちになっていた人々に、新しい提案をしたのです。それは調香師の手によって自然の豊かさと魅力を香りで優雅に描き出した『水の寓話』と題された香水達でした。その年、その時の百貨店のゲランカウンターの賑わいは素晴らしいものでした。もっと自由に自分らしく纏える香りとして多くの人々が喜び、手に取ることを望んだのです。シンプルに見えて実は何層にも重なった複雑さ。それがアクアアレゴリアのナチュラルでゴージャスな香りの秘密です。
「広大で貴重な自然からインスピレーションを得て、香りで美しい光景を描き出す」というミッションは、今年もゲラン5代目の調香師、ティエリー・ワッサーと、ゲランの調香師、デルフィーヌ・ジェルクによって果たされ二つの新たな香りのストーリーが誕生しました。そのうちの一つが『フローラ サルヴァジア』です。
トップノートのウォーターメロンからはジューシーな甘さを、共に現れるバイオレットの香りは静かで大人っぽいニュアンスを加えます。その秘密はバイオレットの香りでしょうか。ヨーロッパではバイオレットの花は聖母に捧げられる特別な花の一つで、「誠実」「控えめ」ということを表します。香水の色もイタリア語で「ヴィヨレット」と呼ばれる青みの強いパープルです。ハートノートにはジャスミンとオレンジブロッサムで、ナチュラルな中にも女王の風格を持つフローラルノートの豪華さがあります。ラストノートはホワイトムスクと、品のある軽いパウダリーノートを感じさせるアイリスの香り。
この香りは発売された5月の新緑の季節にもよく合いますが、入梅後のしとしと雨の続く日本の今の季節にもとてもステキに香ります。湿度の高い時期は香りを慎重に選ぶことが必要です。「ワイルドフラワー」という意味を持つ名の『フローラ サルヴァジア』の香りを嗅ぐと、ミツバチやてんとう虫のいる、様々な生命が循環する野原に咲く花々のイメージが湧き上がります。花の香りを含んだ風を感じながら、足元で踏みしめた草のグリーンの香り。それは自然の中のくつろいだ散歩の時に感じる香りです。だからでしょうか。雨の日に外を歩いていてふと感じる、出かける前に纏った『フローラ サルヴァジア』の香りに、癒されている自分自身を見つけて幸せな気持ちになります。優しい雰囲気を漂わせつつも、芯の強い女性に似合う香りです。
レビュアー 地引 由美 Yumi JIBIKI 2021年6月