Dusita 創業者 / 調香師 ピサラ・ウマヴィジャニ氏来日&新製品お披露目 プレスイベント
Dusita(ドゥシタ)の新製品お披露目プレスイベントに出席させていただきました。この度初来日されたブランドの創業者であり調香師のピサラ・ウマヴィジャニ氏のお話を、NOSE SHOP 岸様の進行でお聞きしました。- 3月28日 ウェスティンホテル東京
☑️ Dusita(ドゥシタ)はどの様なブランドですか?
2014年に、タイ王国出身のピサラ・ウマヴィジャニによってパリで創設されたニッチフレグランスブランド Dusita(ドゥシタ)。創業者のバックグラウンドにあるタイの文化に根ざした独自の世界観を香水へと昇華させており、2018年6月にパリ1区(11, Rue de la Sourdière)にブティックをオープンし、現在世界60か国で展開されています。日本では、2023年3月からNOSE SHOP 渋谷、銀座、麻布台、名古屋、福岡、オンラインストアにてお取り扱いされています。
ピサラさん「私はタイのバンコク出身で、今はフランスに住んでいます。香水を作るという夢を追いかけてきて『Dusita』で叶えました。詩と美術の融合、フランスの洗練と、タイのエレガンスを香りに込めています。」
☑️ 香水ブランドを作ろうと思ったきっかけは?
ピサラさん「詩人である父が俳句で世界を表現した様に、私は『愛』『幸福』『自由』を香りに投影した、私自身の香水ブランドを作りたかったのです。」※ピサラさんのお父様のモントリー・ウマヴィジャニ氏は、日本でいうと谷川俊太郎氏のような国民的に人気のある詩人だそうです。
☑️ Dusita(ドゥシタ)というブランド名の意味は?
タイの信仰から生まれた古い言葉で、幸福が支配する天国の楽園のこと。
ピサラさん「幸福に満ちたパラダイス、でしょうか、人が亡くなった後に行く場所です。今、生きている現実は難しい状況も多いですが、一人一人が皆、幸せになりたいという思いがあると思います。天国にある幸せを私の香水に込めたいと思ってブランド名を決めました。香りには、アロマテラピーという使用方法もあり精油などの香りを嗅いで幸せになるということもありますが、Dusita の香りでも多くの方に幸せになってほしいのです。」
☑️ 調香はどのように学びましたか?
ピサラさん「スクールには行かず、バンコク、そしてパリで個人的に専門家から学びました。またビンテージの香水を多くコレクションしていたので、ベストな香りを創作するためにそのコレクションの中から自分の好きな香水について、その魅力も研究しました。」
ここから Dusita(ドゥシタ)の香水をいくつかご紹介していただきました。
☑️『メロディ ドゥ アムール』
ピサラさん「“LOVE”、からの着想で生まれた香りです。この香水で伝えたかったのは『愛』。愛は言葉ではなく感じるもの。美しい花束を思い起こす様な花の持つ明るいイメージを、ピーチ香を生かしたフローラルノートで表現しました。花の持つ明るいイメージの香水です。肌の上での香りの広がり方も丁寧に考えました。」
2017 The Art and Olfaction Awards 受賞。このアワードでピーチを使用した香りが評価されての受賞は初めてだったそうです。
☑️『ムーンライト イン チェンマイ』
ピサラさん「タイ王国の北部、高い山に囲まれたチェンマイのある夜、山を登った時に見た暗闇の中の月という情景が印象的で、この香水の創作を行いました。月の持つ明るさをパイナップル香で、熱帯雨林の木々の暗闇の影の表現に、チークウッドやオークウッド、ベチバーを用いています。」
☑️『ル パビリオン ドール』
ピサラさん「最初のアイデアは、湖のそばの聖なる黄金の寺院の庭園から。そして村上春樹の本からもインスピレーションを得ました。幸福と平和、心の安らぎをハニーサックルやフランキンセンス、オリバナム、ホワイトタイムなどで表現しました。」
2019年 FIFI Russian Fragrance Awards “Niche Customer Choice” 他、合わせて3つのアワードを受賞した香水です。
☑️『ラ ドゥサー ドゥ シアム』
ピサラさん「幻想的な夜の美しさに溶けていく黄昏時に立つ、優雅な女性。その美しさ、力強さを、タイの庭園で夜に咲く花の香りで表現しました。人生の悲しみも苦しみも乗り越えていくある種の力強さも表現した、とても思い入れのある香りです。」
そしていよいよ3月29日発売の新作フレグランスの紹介です。
☑️『ロザリン』
ピサラさん「皆さまをパリにお連れします。ある日、私はパリのバガテル公園のバラが咲き誇る庭園で様々なローズの香りを体験し、調香師になることを決意しました。普遍的に香水の大切なテーマであるバラの香りですから、バラの香水はすでに数多くあります。バラの香りの探求には長い時間がかかりました。その結果、私は私自身の好みに忠実に、バラを唯一無二の香りで表現することにしました。香水の名前は『ロザリン』で、バラの女王を意味します。バラの香りの持つグリーンでアーシーな側面をパチョリやカカオで、フルーティさにはラズベリーを。天然の香料を贅沢に使っています。」
「『ロザリン』もまた、父の詩との関係から切り離せません。。父親の詩の『1000回さよならと言っても、その後に香り=記憶は残り、ますます愛情が増えていく』、そのようにと願いを込めた香りです。『ロザリン』も『愛』がテーマです。創作の背景には、何年も前に亡くなってもあり続ける父への愛。そして父が詩の中に込めた『愛』が存在します。」
パリのブティックには水彩画が飾られていて、それはピサラさんご自身が描いているものです。この日の会場に置かれたムエットにも印刷されていました。「自分の中にストーリーがあり、それをどう香水で表現するか。そして、ストーリーだけでなく、それは瞬間である場合も。それは想像であることも、現実であることもあります。水彩画でその1シーンを切り取って表現しているのです。
☑️『エラワン』
ピサラさん『エラワン』の水彩画は巨大な象と歩むタイの森の自然の香り、木の香りの表現です。ベチバーとミュゲ、ヘイアブソリュート、バニラアブソリュートでセンシュアルな感覚を生み出しています。」
Dusita(ドゥシタ)の香水はそれぞれ、液体に着色がされています。それもまた香りの世界観の表現で、色はイメージを豊かにするのでそれぞれの香水に異なる着色をしているそうです。青や紫色は特に目を惹きますが、ここでまた香水が紹介されました。
☑️『スプレンディリス』
ピサラさん「この香水のタイトルは、SNSでネーミングコンペを行って決定しました。ただコンペと言っても競争ではなく、ファンの方々とエンゲージできて、香水ファンが楽しく参加できるイベントを考えたのです。結果として10万個のサンプルを配布出来て、2200人の方が参加してくださいました。」
☑️『イッサラ』
日本の方におすすめの香水は?という質問に、ピサラさんは『イッサラ』をあげました。
ピサラさん「日本もタイと同じように木々が豊かで美しい森がたくさんあると聞いています。私はタイにいるママから日本製の枕をもらったことがあります。その枕の中には木のチップが入っていて良い香りがしました。ですから、木々の間を吹き抜ける風の香りの様な『イッサラ』をおすすめしたいです。」
オードパルファムの製品ラインナップに、既存の50mlボトルに加えて、15mlのボトルが発売となりました。キャップは50mlボトルと同じ重厚感のあるものです。すでにたくさんの香水をお持ちの方にも、また初めて香水を手に取る方にも購入しやすいサイズですね。スプレーのミストがとても細かいのも肌に心地よく、嬉しいポイントです。
☑️ 未来に向けてピサラさんが目指すことはなんでしょう?
ピサラさん「自分自身を香りで表現する、それが私の香水です。時間もかかるし、難しいことも多いけれど、水彩画で自分の中のイメージを表現することも合わせて、自分の中のイメージの表現と、私の哲学を追い求めたいと思います。そして『バリュー』『クオリティ』『ユニークネス』をもつ香りで皆さまが幸せを感じるように、『リレーションシップ』を大切に、世界中の香水ファンの皆さまと繋がって一緒に香水を創る、それがゴールです。皆さまに Dusita を愛していただき、グローバルなブランドにしたいのです。」
✅ 会の後で…
ピサラさんと、少しおしゃべりさせていただきました。私が若い頃にアート関係のアルバイトをしていた時に、タイ王国のシリキット王妃がギャラリーにいらっしゃいました。エレガントで気品があって、そういえば王妃も若い頃にフランスに留学されていました。タイとフランスで過ごしているところ、そしてタイという国を代表している点ではピサラさんは王妃と同じですね、とお伝えしたら、嬉しそうに、少し恥ずかしそうに、でも誇らしげにされていらっしゃいました。2016年に、ほんの短時間でしたがタイの観光をした時にワット プラ ケオ寺院で多くの人が国王の病気の平癒を祈る様子に感動したこと。ピサラさんの香水にはその人々の姿と重なるような真摯な創作姿勢を感じることもお伝えしました。
そして、二つ質問をさせていただきました。
– お仕事もプライベートもとてもお忙しいと思いますが、リラックスする方法は何かありますか?」
ピサラさん「温泉です!大好き。日本の温泉にはまだ行ったことがないので、いつか必ず訪れたいです。」
– 素晴らしい人生を送る秘訣は?
ピサラさん「Love、そして Passion を持ち続けること!それは誰かが亡くなった後でも残る、とても大切なものです。」
🖋 若い方にはもちろん、長年香水を愛用してきた方にもぜひ一度、Dusita(ドゥシタ)の香水を体験していただきたいと思います。ピサラさん自身がビンテージの香水を愛し、研究していらしたこともあり、クラシカルな香水がお好きな方にも気に入っていただけると思います。近年のさまざまな環境の変化や制限の下で、歴史ある香水がその奥深さや彫りの深さを失ってしまったようで悲しく感じている香水愛好家の方は特に。ゴージャスでネオクラシックな表情をもつDusita(ドゥシタ)の香りをぜひ肌にのせてみてください。私のお気に入りはバラの香りのエネルギーとエレガンスを感じる『ロザリン』、そして自身の個人的なタイの思い出と重なる『ムーンライト イン チェンマイ』です。あなたのお気に入りは、どの香りになるでしょうか。
翌日には、NOSE SHOP 麻布台 にてイベントも開催され、多くのお客様とコミュニケーションするピサラさんの姿が輝いていました。
ラ コゼット パフュメ YouTubeチャンネルにてピサラからのメッセージをご覧ください。
Dusita(ドゥシタ)創業者 / 調香師 ピサラ・ウマヴィジャニ氏 初来日&新製品お披露目プレスイベント(2分21秒)
https://www.youtube.com/watch?v=NxmC9EwXitI