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review 0006 : オー デ メルヴェイユ / エルメス

【香水名】オー メルヴェイユ / Eau Des Merveilles
【ブランド名】エルメス / HERMÈS
【発売年】2004
【パフューマー】ラルフ・シュワイガー、ナタリー・ファイステラ
【香りのノート】ウッディアンバー
【香りのポイント】オレンジ、レモン、アンバー、ピンクペッパー、ペッパー、オークモス、シダー、ヴェチバー
【レビュー対象製品・価格】オードトワレ 50ml ¥13,000(本体価格)
※レビュアーが実際に試香した製品のみ記載しています。価格はレビュー当時のものです。


 「エルメス」といえば、女性あこがれのケリーやバーキン等のバッグや華やかな色彩のスカーフを想像される方が多いだろう。今回ご紹介するのは、このエルメスが発売しているオードトワレ「EAU DES MERVEILLES(オー メルヴェイユ)。エルメスの象徴ともいえる「オレンジ」が使用されていて興味を持った。エルメスのオレンジといえば、落ち着きのあるいかにも高級ブランドらしいシックな色合い。対してオーデメルヴェイユのオレンジは、軽やかではじけるイメージの色合いなのだ。

 ボトルはドーム型。底は、自立するようV字に斜めのカットがされている。多くのボトルは垂直に立つが、これは斜めの状態で立つ珍しいタイプ。底から上部にかけてオレンジがグラデーションになっていて、背面にちりばめられた銀色の小さな星の滴が細かい泡のように見える。炭酸飲料を開栓した時のように「シュワッ」という音とともに勢いよく中身が飛び出してきそうな、はじけるような、エネルギー溢れるイメージを受ける特徴的なデザインだ。

 上品で華やかながら、どこかシックなエルメスのイメージとは対象的な、底抜けに明るい印象に興味をひかれたが、何より気になったのはこの名前、オー メルヴェイユ。「不思議な水」という意味だと知り、何が不思議なのかを探ってみたくなり試してみることにした。

 ボトルのイメージから想像した香りは2つ。1つは、オレンジ果汁のさっぱりとした甘さにメントールの効いた爽やかなミントが現れる香り。もう1つは、マンゴーやパイナップル等の南国フルーツがメインのトロピカルな10代後半~20代前半の若い年齢層に似合いそうな香り。しかし、初めて手首にひと吹きした瞬間、外観のイメージとは全く異なる香りに意表を突かれた。最初は、霧がかった森林の奥深くで漂う、湿気を帯びた土と植物のような香を強く感じる。静かな山奥の秘境にいるような気分になり、どこかオゾンを感じさせる清涼感のある香り立ちで、落ち着いた雰囲気である。べチバーやオークモス、シダーといった植物系が個性を存分に発揮し、軽く燻した木に似た渋みのあるスモーキーでウッディな香りだ。スパイスのもつ独特な刺激臭も全体を引き締め、ほどよくアクセントとなっている。さほど時間をおかず、柑橘類の爽やかな香りが顔を出してくるようになり、全体的に少し軽やかさと甘さがでてくる。女性向けの香りとして販売されているが、清楚な可愛らしいフェミニンな感じはしない。どちらかというと男性的な要素が強く、力強さや渋味を感じる香り。男女を問わず、仕事をスマートにこなせるイメージを与えそうだ。懸念があるとすれば1つ。60代以上の年配の男性が使うコロンや整髪料のような香りと感じる方もいるかもしれないということ。言われるとそう思えてきてしまうのでお伝えするのを迷ったが、オー メルヴェイユの方が断然洗練されており、アルコールやワックス等の混ざった生活臭とは一線を画していると主張したい。

 そして当初の目的であった「不思議」の解明だが、オー メルヴェイユは一般的な香りの現れる順番と逆なのだ。ご存知の方も多いと思うが、香りは揮発性の高いものから順に現れる。今回の場合、柑橘系等の軽い香りが最初に香るはずなのだが、通常は最後の方で香るベチバー等が他の香りをけん引する。調香師による遊び心満載のマジックだ。

 オードトワレの場合、強めのアルコール臭が苦手という声を聞くことが多いが、オー デメルヴェイユは特にそういったことはない。朝、左右の手首にワンプッシュずつ吹きかけ一日を過ごしてみたが、夜になって鼻を手首にぴったりつけると、微かに香りを感じとれる位の残り具合。つけてすぐの1015分位は香りが周囲にも拡散しているような気がしたが、その後は手首が鼻先の30cm程度に近づけば香りを感じる程度になった。ご自身で香りを楽しむだけなら、途中の付け直しも必要ないかもしれない。実は、香りとは別に気に入った点がある。ボトルだ。片手で取って、親指でラクにプッシュできるサイズ感とスプレー部分のスムーズさ。朝の忙しい時、貴重な数分を大きなボトルやかたいスプレーとの戦いに費やさずにすむストレスフリーな一品なのだ。

 ボトルの色は透明感のある明るいオレンジだが、香りを色で表現するとオリーブ色だろうか。落ち着きがあり、ナチュラルだけれど洗練された感じを与える色。外観と中身のギャップも「不思議」になりえる。ぜひご自身で「不思議」を体感し、この「不思議な水」をスタイリッシュに使いこなしていただきたい。

レビュアー 新咲 清香 Kiyoka NIISAKI 2017年10月

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