review 0014 : ピンク クオーツ / オリヴィエ・デュルバノ
【香水名】ピンク クオーツ /PINK QUARTZ
【ブランド名】オリヴィエ・デュルバノ/ Olivier DURBANO
【発売年】2010年
【パフューマー】オリビエ・デュルバノ/ Olivier DURBANO
【香りのノート】シプレスパイシー
【香りのポイント】ピンクグレープフルーツ、サフラン、ジンジャー、ダマスクローズ、ミルラ【レビュー対象製品・価格】オードパルファム 100ml €160.00
※レビュアーが実際に試香した製品のみ記載しています。価格はレビュー当時のものです。
「大好きな石をみつけて、大好きな人にあげるんだ」。子供のころから石の持つ魅力に惹かれ続け、建築学を学んだ後にアートとファッションへの関心からテキスタイルデザインを行い、やがて石の持つスピリチュアルなメッセージを最大に伝える方法としてジュエリーのデザイナーに、そしてさらに石のメッセージを香水へ昇華させるために、自身のブランドを設立したのが、オリヴィエ・ デュルバノ。
彼の香水に出会ったのは、モナコ、モンテカルロのビューティ&フレグランスのセレクトメゾン、アルシミステリィでした。オーナーのフランチェスコの審美眼にかなったスキンケア、そして香水が並ぶ中から、丁寧にカウンセリングをして頂いて「これを纏うべき」セレクトしてくださったのが『ピンク クオーツ』でした。ムエットにスプレーしてもらった香りは、石に触れた時のような、ひんやりとした感覚が新鮮だったのを良く覚えています。
ローズが花開くようなフローラル感は、香りを纏ってから2時間位してから感じられます。まず水晶の表面のような冷感のあるサフランやジンジャーの香りで始まり、ウッディノートが穏やかに広がります。ボリューム感というより、先端の尖った針金のような鋭さを感じます。
パリのオリヴィエのアトリエは、マレ地区のフラン=ブルジョワ通りにありました。スタイリッシュでアーティスティックなセンスに溢れた雰囲気の中で、香りの創作についてお聞きして、芸術家の繊細な感覚と子供のようなまっすぐな視線、そしてヨーロッパの紳士としての振る舞いに感嘆しつつ、シャンパーニュをたのしみながらの時間はあっという間に過ぎていきました。その翌年、グラースで「ここにメゾンを開くのはどう思う?」と相談されたのは、ブランジュリーの看板が残る、雰囲気のある建物。オリヴィエの曾祖母はグラースでローズ ドゥ メとジャスミンを栽培していた花農家。ご自身はご両親の住むカンヌに生まれて、2005年からはグラースで香水を創っている彼には、パリのアトリエとともに、そろそろコートダジュール、そう、グラースにも拠点が欲しくなったと真剣でした。
現在のグラースのオリヴィエのメゾンは彼の香水、彼のジュエリー、彼のテキスタイルなどが美しく展示され、季節ごとに変わるウィンドゥのディスプレイは芸術作品のようです。グラースを代表する香水ブランドになることは間違いありません。再訪が今からとてもたのしみです。
レビュアー 地引 由美 Yumi JIBIKI 2017年11月