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review 0009 : フォー ハー / ナルシソ ロドリゲス

【香水名】フォー ハー / for her
【ブランド名】ナルシソ ロドリゲス / Narciso RODRIGUEZ
【発売年】2006年
【パフューマー】フランシス・クルジャン、
クリスティーヌ・ナジェル
【香りのノート】フローラル
【香りのポイント】ローズ、ピーチ、アンバー、ムスク、パチュリ
【レビュー対象製品・価格】オードパルファム 100ml 15,400(本体価格)
※レビュアーが実際に試香した製品のみ記載しています。価格はレビュー当時のものです。

 

 『ナルシソ・ロドリゲス』を、初めて見聞きしたのがどこだったかは忘れてしまったが、なぜか音の響きが耳に残り記憶にとどまっていた。ファッションデザイナーの名前でありブランド名でもあると知ったのは、今回ご紹介するオードパルファム、「for her(フォーハー)」が発売になる少し前だったと記憶している。

 彼のデザインは、過度な派手さがなくシンプルなものが多い。全体が流れるようなフォルムでラインが非常に綺麗で優雅。カットやドレープ等の細部にファッション性の高いアートな遊び心が感じられ、シンプル過ぎないユニークなデザインである。そして「ランウェイからそのままデパートやオンラインで販売できるのでは?」と思ってしまうほど、実用的な仕立てだ。このナルシソ・ロドリゲスからフレグランス製品が発売になると知り、出会ったのが「フォーハー」。

 好みの香りではないかもしれないリスクを承知の上で、試香せずに購入した。長方形の黒い箱に、ペールピンクで「narciso rodoriguez for her」とだけ書かれた外装から、潔さとどこか謎めいた印象を受けて興味がわいた。そして、何かのインタビューで、「女性が身に着けるまではファッションではない。これは真に事実だ。」とロドリゲス氏が答えていたのを思い出し、ファッション性と実用性を見事に融合させる彼の生み出した香りがどのようなものかは、結局、実際に使ってみなければわからないと考えたのだ。

 ボトルは、外装と逆の色使い。血色の良い肌のようなペールピンクの長方形のボトルに黒で印字がされている。キャップ部分のエッジは角張っているが、ボトル胴体の角は丸みを帯びていて女性らしい。フローラル調で花がメインに香るという情報と、黒とペールピンクの組み合わせから、女性の強さ・柔らかさ・妖艶さを表現するような香りだろうと漠然と想像していた。

 箱を開封し、初めて手首につけた購入当時の感想は今でも鮮明に思い出せる。
 「重い、強い、濃い」、そして「異国の香り」だ。むせるように濃厚なバラの香りとベビーパウダーのような粉っぽい甘さのムスクの中に、バニラや高糖度のフルーツのような甘さが潜み、柑橘系の外皮の酸味と渋味のような香りが全体を包んでいるような、そんな香りに感じた。ラテン系の国や中南米で好まれそうな、密度と温度が非常に高い香りだというのが第一印象だった。フローラルではあるが、清々しく軽やかなフローラルをお探しの方は、間違いなくお求めの香りではない。

 濃厚な香りに購入当初は抵抗があったが、今は癖になる香りになっている。つけてすぐは、レモンやライムの外皮のような香りとローズ、ムスク等、全てを一度に強く感じる。脳が香りでいっぱいになる錯覚を起こすくらいだ。しかし、肌にのせてから30分ほど経って全体的に香りが落ち着いてくると、柑橘系や化粧石鹸に似た爽やかな香りが存在を強め、ローズの密度が緩んで柔らかくなり、甘さも少し奥に後退して立体的な香りになりバランスが取れてくる。ローズとパウダリーなムスクの温かみのある甘さに、どこかミステリアスな妖艶さも感じられるようになる。

 「官能的」と表現されることも多いようだが、個人的にイメージする色は漆黒と深紅で、モノトーンでまとめたシックなファッションにも合うと思う。身体的な色気よりも、内面的な色気を感じる香りは、箱やボトルが表わしているように直線的でかっこいいイメージを受ける。強さ()の中に存在する温かな優しさ(ペールピンク)と、またその逆も言える女性の複雑な内面を体現した香りは、まさにミステリアス。

 オードパルファムなので、香り自体も強く持続時間も長い。フォーハーの場合、日常使いであれば途中で付け直す必要はないだろう。朝、ウエストと両手首へ1プッシュずつつけ、10時間くらい経過しても香りを感じられる。香りが強いので香害には要注意。特に混雑した電車を利用する場合は、手首につけるのは避けた方がよさそうだ。つり革を持った時に、強く独特な香り周囲の乗客の迷惑になる可能性がある。つけすぎに注意すれば、香りの選択の幅も広がる。TPPO(時間・場所・人・目的)に合わせて適量を見極め、「彼女 女性のため」の香りをぜひ自分らしいスタイルで自由に楽しんでいただきたい。

レビュアー 新咲 清香 Kiyoka NIISAKI 2017年10月 

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