アクア アレゴリア パッシフローラ / ゲラン
【香水名】アクア アレゴリア パッシフローラ / AQUA ALLEGORIA PASSIFLORA
【ブランド名】ゲラン / GUERLAIN
【発売年】2018年
【パフューマー】ティエリー・ワッサー / Thierry WASSER
【香りのノート】アクアティック フルーティ シトラス
【香りのポイント】オレンジフラワー、アクアティックノート、イランイラン
【レビュー対象製品・価格】オーデトワレ 75mL 8,200円(本体価格)
※レビュアーが実際に試香した製品のみ記載しています。価格はレビュー当時のものです。
『アクア アレゴリア パッシフローラ』は、ゲランのアクアアレゴリアシリーズから発売された2018年の新作です。アクアアレゴリアシリーズがスタートしたのは、コンピューターの2000年問題を前に、技術革新や経済成長を第一とした意識が見直され、自然や、環境問題へと向き始め、香水のテーマもラグジュアリーで複雑なテーマから、良質でシンプルなものへと流行がシフトした、そんな1999年。シリーズ名のアクアアレゴリアの意味は、アクア=「水の」、アレゴリア=「寓話」。人ではなく、水が語る物語。それはハッとするような透明感を持つ香りのラインナップでスタートしました。当時、ジャン=ポール・ゲランと共に香りの創作に取り組んだのは、現在、カルティエのメゾンパフューマーとしてアクティブに活躍しているマチルド・ローランです。生き生きとした山百合の香りを見事に香水に再現する手法などは、アクアアレゴリアシリーズでの成果も生かされていることでしょう。
ゲランのクラシックな香水を纏う時は、その贅沢さに背筋が伸びるような気がします。どこか特別な場所へ出かける時はその香りが自信を持たせてくれることもあります。それに対してアクアアレゴリアシリーズは、寛いで、ゆったりと心地よくいる時間の為の香り。香りを纏う人や周りの人を緊張させません。そして一つ一つの香りはそれぞれ異なる『水』のイメージがあります。朝露、清流、海面、デザートグラスについた水滴…。今回の『アクア アレゴリア パッシフローラ』のそれはサマーリゾートのプールの水。
そんな夏のシーンを描き出す香りは、オレンジフラワー、アクアティックノート、イランイランを主に構成されています。パフューマーはティエリー・ワッサー。創業以来、調香師は一族から選び出されてきたゲラン。その5代目調香師として、初めて外部からティエリー・ワッサーが迎えられることが発表されたのは2008年でした。才能溢れる彼本来のテクニックが『アクア アレゴリア パッシフローラ』では感じられます。フレッシュなベルガモットや、パッションフルーツのエキゾティックなスイートさ。そして、香りを纏った肌には、プールの中のバーカウンターで作ってもらったカクテルのグラスの、ひんやりとしたクール感が続くのです。これはとても不思議です。どのような秘密があるのでしょう?あなたの肌の上ではいかがでしょう?ぜひ香りをスプレーして試してみてください。
『アクア アレゴリア パッシフローラ』の香りは女性なら年代を問わず纏えますし、オシャレにこだわりのある若い男性も纏えます。今年の夏、手元に置いておきたい1本です。
レビュアー 地引 由美 Yumi JIBIKI 2018年5月