review 0025 : TIFFANY Eau de Parfum / ティファニー
【香水名】ティファニー オードゥ パルファム / TIFFANY & Co.
【ブランド名】TIFFANY Eau de Parfum / TIFFANY & Co.
【発売年】1987年
【パフューマー】フランソワ・ドゥマシー / Francois Demachy、ジャック・ポルジュ / Jacques Polge
【香りのノート】フローラルブーケ
【香りのポイント】ローズ ジャスミン ブラックカラント
【レビュー対象製品・価格】オードパルファム 100ml ※日本国内での販売価格不明
※レビュアーが実際に試香した製品のみ記載しています。価格はレビュー当時のものです。
ドラマティック。情感溢れ劇的な存在感に心を射抜かれた。華々しい。ポール・アンカのYou are my destinyの曲の始まりのように。
1987年 ティファニー創業150周年を記念して発売された、ティファニーのファーストフレグランスである。
ティファニーは、1837年9月18日創業の世界的に有名な宝飾品・銀製品のブランド。チャールズ・ルイス・ティファニーとジョン・B・ヤングの二人が前身となるティファニー・アンド・ヤングをニューヨーク、ブロードウェイに文房具や装飾品の会社として設立。1848年フランスでの二月革命発生に伴い、貴族から宝石を買い入れ宝石事業に進出し大成功。
1851年より銀製品製造を開始し1853年にTIFFANY & Co.に改称。宝石学者ジョージ・フレデリック・クンツにカットさせた287.42カラットのイエローダイヤモンド原石は128.54カラットの有名な「ティファニー・ダイヤモンド」として本店に展示されている。
1886年ダイヤモンドが最も美しく輝く、ティファニーセッティングをデザイン。ラウンドブリリアントカットのダイヤモンドを6本の細い爪で支える立て爪のセッティングで、現在のエンゲージメントリングなどで主流とされる代表的なものである。4月の誕生石に、ティファニーの主力商品であるダイヤモンドに設定したのがジョージ・クンツとされる。
1940年ニューヨークの5番街57丁目に本店を移転。1961年のオードリー・ヘップバーン主演映画「ティファニーで朝食を」でも有名。
1837年からカンパニーカラーであるティファニーブルー、1853年からブルーボックスを使用。この色はコマドリの卵の色(Robin egg blue)からきている。この色は大切なものを表す色で、真実、高潔さのシンボル、そして本物の証とされる。ティファニーの品々はどれも気高くあらねばならないという、チャールズ・ルイス・ティファニーの思念にピッタリであったそうである。
そんなティファニーのファーストフレグランス。当時150周年ということで、150種類の贅沢な香料が使用されているとか。
初めて出会ったときは、まだ大人になる手前であったので、華々しすぎて圧倒され、纏うことに勇気を必要としたほど。憧れの存在だった。
纏った瞬間、ゴージャスな花々だけで作られたベッドに飛び込んだかのような、ときめきとエレガンスに包まれる。幼さはそこにはなく、美しい女性だからこそ味わえる優越感の地へ連れて行ってくれるような感覚。コクがあり、繊細で、なめらかで、しっとり、華やか、甘さもある。だが、媚びない。私の芯はブレないわ・・まるで、肌の上で颯爽と優雅に歩く姿が見えるよう。
しばらくすると、ゴージャスなドレスからシンプルで上質な素材の品の良いロングワンピースに着替えたかのように、おとなしさと、優雅さが知的に香る。例えるならばグレース・ケリーの誰をも魅了してしまう存在感と重なるかもしれない。
ここから、ラストまでダイヤモンドの繊細な輝きのように、飽きることなく纏う人を美しく柔らかく包み込んでくれる。去り際の優しいオーラに、きっと未練を感じるであろう。
淑女のたしなみを身に着けた、一人の大人の女性が存在している。そんなきちんとしたラストノートで締めくくられる。
前述したように、当初、纏う勇気が必要だった香り。もっと素敵な女性になりたい、もっとチャレンジをしたい、そんな時に、意識や行動力を何段階にも引き上げてくれる香りが、この香水だった。今日は背伸びをしてみよう、と別の世界を見せてくれる香り。意識が自身の先端まで届き、自分自身を客観視させてくれる香り。
ティファニーブルーのボックスに入った、NY本店正面玄関をモチーフにしたボトルデザイン。目にも手にも輝きが宿る大切な宝物といった出で立ち。ティファニーの品格を感じずにはいられない。
現在は、気負うことなく自然に纏える自分がいる。TIFFANYがあの頃からの成長を教えてくれる。
レビュアー 五郎丸 惠 Megumi GOROMARU 2017年10月