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香りのある生活

資生堂アートハウス企画展 – ヴィンテージ香水瓶と現代のタピスリー ~ ラリックとバカラを中心に ~

 静岡県掛川市の資生堂アートハウスで、企画展 – ヴィンテージ香水瓶と現代のタピスリー ~ ラリックとバカラを中心に ~ が開催されています。19世紀末から第二次世界大戦前を中心にフランスで制作された香水瓶と、1960年代から70年代にかけて日本国内で制作されたタピスリーの融合から生まれたアートを観覧できます。

 まず最初は第一会場の2階から。こちらではバカラの香水瓶を中心に展示されています。

 『Cuir de Russie(ロシア皮) / ゲラン』。新しく資生堂の香水瓶コレクションに加わった逸品です。また、最初の展示品『HÉLIOTOROPE BLANC 000(ヘリオトロープ ブラン000 / ゲラン』もたいへん美しいものです。ぜひ会場でご覧ください。

 下の画像は『ASTRIS(星)/ ピヴェール』の香水瓶で、バカラ社の被せガラスの技法を駆使したもの。アール・デコ様式のデザインの典型を見るようです。

 
 女性の心をくすぐる “ネセセール(=必要なものという意味の、旅行時または携帯する為に工夫された身の回りの品々、またはそのセット)”用に作られた1910〜1920年代のバカラ、ルネ・ラリック、他の香水瓶。口紅の用にケースに収めるタイプの香水瓶は現代の製品のようです。

 
 
 第一会場の1階ではルネ・ラリックの香水瓶が並びます。

 向かって左側から『LE BAISER DU FAUNE (牧神のキス)/ モリナール』、『LE BELLE SAION(美しい季節)/ ルネ・ラリック』、『NARKISS(水仙)/ ルネ・ラリック』の香水瓶。 


 
『dans la nuit(夜に)/ ウォルト』の有名な香水瓶。

 
 常設展を見ながら、第二会場へと進みます。

 ガラス窓越しに見えるのは『牧馬 / 中村 輝』のブロンズ作品。庭の緑の草を食むような姿が、清々しい春の風を感じさせます。

 第一会場では「すでに豪奢なデキャンタの製作技術を持っていたバカラの、職人芸の極地とも言える香水瓶、そして、ジュエリーデザイナーとしてスタートしたルネ・ラリックのイマジネーションの発露のような香水瓶」(資生堂アートハウス 学芸員の福島 昌子 氏の解説)を観賞しました。

 第二会場ではタピスリーと香水瓶が展示されています。こちらの会場にある香水瓶18点はメゾン・ラリックの作品で、香水会社からデザインのイメージを指定されて製作した瓶ではなく、空のまま販売されて顧客が好みの香水を入れるものでした。その為、創作イメージの制約の無い、自由なセンスを発揮し、それを実現する為のオリジナルな技法を駆使した贅沢な作りとなっています。

 耐震工事を経てこのスペースの様子も少し変わり、株式会社 川島織物、オリエンタルカーペット株式会社による大きなタピスリー6点が、華やかに展示されています。全てそれぞれの原画を元に、資生堂が依頼して作成された作品です。

 『富士 / 前田 青邨』の色彩は印象的です。羊毛、シルク、金糸、銀糸で表現された富士山の肌合いや、飛ぶ鳥の姿の軽やかさ。

 メゾン・ラリックの『PETITES FEUILLES(小さな葉)』、『PANIER DE ROSE(薔薇籠)』、『LUNARIA(ルナリア)』の香水瓶。
 

 タピスリーと香水瓶のそれぞれの世界観が相まって、そこに新しい美の表現が生まれています。

 タピスリー『群落 廃墟のある/ 岡 鹿之助』とメゾン・ラリックの『FOUGÈRES(シダ)』、『ANSES ET BOUCHON MARGUERITES(ひな菊)』、『PAN(牧羊神)』。


 
 タピスリー『花椿』とメゾン・ラリックの『NAÏADES(ナイアード)』と『ROSACE FIGURINES(薔薇窓)』。

  
 マリー・ローランサンの『牝鹿』の前にはメゾン・ラリックの『CLAIREFONTAINE(クレールフォンテーヌ)』、『LENTILLES(ランティーユ)』、『PALERME(真珠)』。『クレールフォンテーヌ(=明るい泉)』に向かって跳ねる牝鹿の姿は、若い女性のもつエネルギーを感じさせます。さらに、このローランサンの描いた世界がきっかけとなってバレエリュスのディアギレフに頼まれたプーランクが作曲、ジャン・コクトーが台本を書いたバレエ『牝鹿』が初演された1924年とほぼ同時期に存在した香水瓶と並ぶことで、当時の「優雅な宴」(Fête galante) の世界へと誘われます。

 

 19世紀の化学の発展に伴う『合成香料』と『溶剤抽出』という大きな二つの香水製造に於いてのニュースタンダードの恩恵を受け、香水の生産法や生産量は大きく変わりました。その少し前から、織物の世界でも産業革命によって誕生した自動織機が人々の装いや生活を豊かなものに変えていました。この展覧会では、資生堂が制作を依頼した、名画を元にしたタピスリー(綴れ織り)の壁掛けと、資生堂所蔵のラリックとバカラの香水瓶100点が展示されています。タピスリーと香水瓶、共に工業製品と位置付けられながらも、見る人の心を芸術を鑑賞する喜びで満たします。タピストリーを背景にして、また共にある香水瓶は、新たな物語を語り始めます。

これまでに資生堂アートハウスを訪れたことのある方も、タピスリーと香水瓶が描きだす芸術。そして今回新たにコレクションに加わった香水瓶を観賞に、ぜひお出かけください。

資生堂アートハウス企画展 – ヴィンテージ香水瓶と現代のタピスリー ~ ラリックとバカラを中心に ~ 公式サイト

会期:2018年4月10日(火)- 6月24日(日
入場無料
会場:資生堂アートハウス
住所:静岡県掛川市下俣751-1
電話:0537-23-6122
休館日:月曜日(月曜日が祝祭日の場合その翌日)
開館時間:10:00 – 17:00(入館は16:30まで)

学芸員によるギャラリートーク
4月19日(木)、5月19日(土)、6月22日(金)の14:00より30分 参加費無料

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