La causette parfumée Grand Prix 2019 ラコゼ パルファン グランプリ 2019
ラコゼ会員が選ぶ今年の香水No.1!2019年、ラ コゼット パフュメ 香りのおしゃべり会で取り上げた香水のうち、会員の投票で最も人気のあった香水『ラコゼ パルファン グランプリ 2019』が決定しました。実際に香水を購入して愛用するリアルな香水ユーザーの声が反映されるランキングとして、昨年の第1回からこのグランプリは国内外を問わず注目されています。
今年エントリーされた香水は10点。投票権を持つ27名のラコゼ会員(うち、9名が棄権)が、1位、2位、3位を決め投票します。1位を30ポイント、2位を20ポイント、3位を10ポイントとして、各香水の獲得ポイントを集計しランキングが決定します。11月24日に行われた投票会と、全国各地の会員から郵送された投票券の集計結果により決定したグランプリが、12月22日(日)のクリスマス会にて発表されました。
【第1位(=グランプリ)】
『ノワール エピス / フレデリック マル』(190ポイント獲得)
パフューマー:ミッシェル・ルドニツカ Michel Roudnitska
投票に添えられたコメント:
・高級感、あと深みのあるオレンジの香りが新鮮で、つけてみたくなりました。
・永遠にセンス光る香り。定番でありながら常に新しく、あらゆる自分の部分を持ち上げ、高貴に丁寧にさせてくれる。No.1!
・自分の好きな香りが詰まっており、オレンジ、ゼラニウムのトップノートに心が持っていかれてしまう感じで、時間が経ってもオレンジの少しビターな感じとスパイシーさがピリッと効いていてエネルギッシュにバリバリと仕事をこなせそうな気がしました。
・バランス感がよく、明確な香りのメッセージがあるマルらしい香り。
・バランス感、ピカ1。深いスパイス感が心地よい。
【第2位】
『ラ ポ ヌ / セリーヌ』です。(180ポイント獲得)
クリエイティブ ディレクター:エディ・スリマン Hedi Slimane
投票に添えられたコメント:
・女性の肌、という表現をテーマに選びました。
・きめ細やかな清潔な肌を連想し、心地よくパーソナルな香りとして漂わせてくれそうです。
・ほのかなパウダリー感が上品。
【第3位 2-1】※第3位は同点で二つの香水が選ばれました。
『WATER REFLECTION / TOBALI』(150ポイント獲得)
パフューマー:非公開
投票に添えられたコメント:
・今は、爽やかでやや軽くて自然を感じる調香を欲しているようです。
・香りを感じる度に違うイメージが浮かぶ。幽玄。
・この香りに少しでも心動かされない者がいるのだろうか、と思わせるような、清らかで繊細なのに豊潤。奥ゆかしくも華やかな香り。この香りに似合う女性ではなく、この香りに選ばれる女性でありたいと思います。
・2020年の流行色ともピッタリで私的にも新しさが加わったような新しい好み。
【第3位 2-2】※第3位は同点で二つの香水が選ばれました。
『バック トゥ ブラック アフロディジアック / キリアン』(150ポイント獲得)
パフューマー:カリス・ベッカー Calice Becker
投票に寄せられたコメント:
・甘くも冷たい危険な香り。
・キリアンらしさが光る。世界観へ一瞬で連れて行ってくれる香り。鈴の様なやる気スイッチを感じる独特な香りが面白い。
・トップノートのはちみつやスモーキー、スパイシーな香りが印象が強く、愛の媚薬というネーミングにも惹かれたのですが、身に纏った時の最後に感じられる、ラムやコニャック、コーヒーやカカオなどの香りが精神を落ち着かせてくれるものを感じました。
【第4位】
『ヴェルヴェット ウッズ / ユーファースト』(100ポイント獲得)
投票に寄せられたコメント:
・女性にもカッコよくまとえる香り。カッコいい強さのある印象のトップの香りから、女性らしい落ち着きのある香りに変化していく様子が楽しめるなぁと思いました。
・スピード感のある新しいクラシック。
・心のクッションの様な、柔らかくしてくれる香りでした。
【第5位】
『クラシューズドゥフラム / セルジュ ルタンス』(90ポイント獲得)
クリエイター:セルジュ・ルタンス
投票に寄せられたコメント:
・”火を吹く女”は、私の行く先を照らす炎として毎日を一緒に過ごしていきたい香りだと、改めて感じました。
・やはりバラが好き。スーッと香るバラの優雅な香りに一日中気持ちよく過ごせる気がしたからです。職場のスタッフの皆さんのリアクションが、一番笑顔が華やかで人気がありました。
・謎めいていて魅力的。
【講評】
今年のグランプリ、また、ランキングも興味深い結果となりました。第1位の『ノワール エピス / フレデリック マル』の本国発売年は2000年です。また第3位 2-2 の『バック トゥ ブラック アフロディジアック / キリアン』の発売年は2009年。この2作が今年2019年のグランプリにランキング入りしたのは、エスティ ローダー カンパニーズでの取り扱いが始まり、2018年10月に、両ブランドの日本1号店が三越日本橋本店 本館1階にオープンしたことが大きく影響しています。この2ブランドの専属スタッフのコンサルティングを受けながら、実際に手に取って香りを感じることのできる場が常設されたことは、香水ファンにとって大きな喜びであり、購入する方が大きく増えました。
手に取る機会が増えると同時に、19年前、10年前に発表された香水が今、大きな人気を得ていることはなぜでしょう。両ブランドに共通する香水における「上質なラグジュアリー」な感覚は、時を超えて人を惹きつけていること、そして愛され続ける香りを生み出すパフューマーの努力と才能が人を惹きつけてやまないからでしょう。
対して、第2位の『ラ ポ ヌ / セリーヌ』は今年、2019年の11月にシリーズ全9種で新しくローンチした香水のうちの一つです。セリーヌのクリエイティブ ディレクター、エディ・スリマンの記憶の中のシーンがそれぞれの香りのテーマになっていますが、どの香りもトップノートの香りの立ち方がとてもやさしいのが特徴です。ノックされるような強烈さはなく、繊細に構成されていて、シリーズの中のコロンタイプの香りでさえ90年代のコロンタイプの香水とは全く異なるアプローチです。発売直後にも関わらず、柔らかく、上品で、でも現代的なこの香りが第2位になったのは、これからも長く愛される証です。
第3位 2-1の『WATER REFLECTION / TOBALI』。こちらは第3位 2-2 『バック トゥ ブラック アフロディジアック / キリアン』と同じ150ポイントを獲得しましたが、獲得ポイントの内容を見るとこちらを1位に決めた人の数が多かったのです。強く印象に残る白い香水瓶の存在感と、ジャポニスムフローラルシトラスの香りは、ジェンダーレスな雰囲気を好む時代にしっかりと根を張りました。伊勢丹新宿店で10月に開催されたサロン ド パルファンでもTOBALIのコーナーがとても賑わっていたのが目立ちました。
第4位の『ヴェルヴェット ウッズ / ユーファースト』は日本で好まれる清潔感のある香りです。ラディアントフローラルノートですが、甘すぎないハーバルな香りの出方が年代性別に関係なく、好まれました。
第5位の『クラシューズドゥフラム / セルジュ ルタンス』は、2015年に発表されたシリーズ「セクション ドール(=ゴールデン セクション)」の中の1点で、50mlで50,000円の高価格です。香りに対して感情が強く動かされた時、価格のハードルは頑張ってでも飛び越えてしまうものです。しかしやはり、香水の人気がもっと広まる為には、求めやすい価格は大切なポイントです。
昨年と比較するとウッディノート、オリエンタルノートの香水が、リアルな香水ユーザーに受け入れられてきたことがわかります。ただ、中東で好まれるそれとは違い、軽さやドライな感覚、透明感、などを持つ香りであることが必要です。 いわゆる、女性らしく、男性らしくあることが求められるシーンは世界でも日本でも少なくなり、社会的な性差を無くすことを重要視する時代の傾向が、今回のランキングにもよく現れています。
今年も多大なるご協力いただいた皆様に深く感謝致します。