La causette parfumée Grand Prix 2021 ラ コゼット パフュメ パルファン グランプリ 2021
ラコゼット パフュメ会員が選ぶ今年の香水No.1!
2021年、ラ コゼット パフュメ 香りのおしゃべり会で取り上げた香水のうち、会員の投票で最も人気のあった香水『ラ コゼット パフュメ パルファン グランプリ 2021』が決定しました。香水を購入し、愛用するリアルな香水ユーザーの声が反映されるランキングとして、このグランプリは国内外を問わず注目されています。
今年『ラ コゼット パフュメ』で紹介された香水はトータルで87本でした。その内、毎月の香りのおしゃべり会で特に人気があった香水を26本セレクトし、さらにその中からインパクトのあった香水を厳選し、最終的にエントリーされた香水は6本。投票権を持つ25名のラ コゼット パフュメ会員が、6本から各自が1位、2位、3位を選び投票します。12月18日にグランプリが決定し、クリスマスランチ会にて発表されました。
それでは、結果発表です。
第1位 グランプリ – 1
エデン ロック / メゾン クリスチャン ディオール
パフューマー フランソワ・ドゥマシー
投票に添えられたコメント
・フランソワ・ドゥマシーのディオール最後の香りにときめきました。
・フローラルで甘さもありながらすっきり爽やか。時間が経過するにつれ、より落ち着いた品のある香りになっていくのがとっても好みです!真っ白なシャツに纏いたい1本です。
・寒い日の日向が緊張をほどいてくれるのに似た温かい香り。
・自由を気ままに楽しむ余裕と解放感を与えてくれる。
・とてもニュートラルな軽い持ちで試したら、壮大な世界がそこにあり驚いた記憶がある。
ゆったりとした時間の流れ、波のきらめく様、風、音、水面の輝き、大理石の冷たさ、白壁のニュアンス、人、品格etc
フレンチリヴィエラがそこにあって、思わず目頭が熱くなる。
洗練されているってこういうことなのかな、センスが凄くて、拍手。
フランソワドゥマシーへの溢れる感謝がソルティな所に投影され、留まり浸ってしまう。
伝統と革新の表現、これから繋がれる新たな世界への軽やかなバトン渡し、やっぱりセンスが良い…
・お出かけしたい!
・軽やか、涼しい風が吹く感じ
・エデン ロックを紹介した責任感(笑)もありますが、やはり今年、最も自分の身近にあったというのが1番の理由です。
以前ご紹介した時にも書かせていただきましたが、その香りのconceptから、コロナ禍にあり制約された日常から解放への希望を抱いたのと、実際にその香りからは、海が見渡せるプライベートコテージにたどり着いた時の最高な気持ち。日常のことはすっかり忘れてバカンスハッピータイムを感じた高揚感を思い出すことを叶えてくれるからで、現実の日々も気持ちよく過ごすきっかけになったからです。
・大好きなディオールからの候補が嬉しいです。
コレクション プリヴェの中でラッキーに次いで好きな香りです。
心地良い風と日差しの中で自然と笑顔になってしまうような、どこか懐かしさも感じます。
1位とずっと迷い、苦渋の決断をいたしました、笑。
・コートダジュールの海と空、太陽の光を感じました。ダジュールブルーに照り返される光の中を風にのって香ってきます。
ルカネからのカンヌの海を思いだしました。今年のNo.1です!フランソワ・ドゥマシー氏は天才ですね。
・ラコゼットの資料が届いた時に「これ好き!」と感じました。その後ラコゼでこの香水をプレゼンしていらっしゃる方の説明が素晴らしかったです。まさに潮風やリゾートに一瞬でトリップできる香りです。地引先生が南仏の有名なホテル…と仰っていたのも憧れをつのらせています。
※2021年は投票が白熱しました。獲得ポイントが同数の場合、その香りを1位に選んだ方の数が多い方を1位 – 1 とさせて頂きました。
第1位 グランプリ – 2
ベチバー アンフィニ / キャロン
パフューマー ジャン・ジャック
投票に添えられたコメント
・ボトルに一目惚れ!
・エレガント感ではやはり頭一つ、二つ抜きん出た印象です。CARONのリブランドは非常に好ましい形で行われましたね。これは稀なことではないかと思います。新しいファン獲得にシフトし過ぎれば、古くからのお客様を失いかねないし、かと言って「古臭い」イメージは払拭したい…
3サイズ展開も嬉しいし、スタッキングできるボトルも素敵。ベチバーの土っぽさはともすると野暮ったくなりますが、ライムやピンクペッパー、ゼラニウムのひんやり感で中和された印象。何となく笑顔になるのはオキシトシンの幸せ成分効果か、はたまたジャン・ジャックのお人柄か(笑)、老舗メゾンの底力ここに見たり。
サロンドパルファンのCARONカウンターに群がる若者たち、まあちょっとしたカオスでしたが(笑)嬉しいことでした。
そしてフォルテメンズの方々の心意気にもを差し上げたいです。
・最初の試香した時の印象から、何度も順位を考えているうちに、どんどんと好きになっていき、自分でも欲しいと思う1本になりました。
・色鮮やかで華やかなヴェネチアの仮面舞踏会。妖艶さの秘める不協和音が興味を誘う。
・美しく少し儚さも感じるヴェチバー。軽やかで社交的、バランスが良いところが〇
ジェンダーレス、これからの時代といったイメージ。
・じっとしていたい
・爽やか、清々しい気分
・この香りを吸い込むと、爽やかで心が軽くなる気持ちになりました。清らかな水に浸って、清潔に浄化されるような気持になりました。日常のリアルな仕事の現場やコロナで汚染された世の中から綺麗になりたい、という欲求があるのかもしれません。
・久しぶりに出会った透明感のある香りから、パリを感じる事が出来ました。大好きです!!
・新生キャロンの魅力を感じることの出来た作品です。
ベチバーの大地の香りが心穏やかに気持ちを落ち着かせてくれながらイリスが豊かにふくよかに暖かく包み込んでくれ静けさと華やかさを感じる至福の香りです。
ジャン ジャックが創り出す僅かな音のずれは私の感情を刺激的にシャープにフラットに揺り動かしてくれました。
・トップを感じると爽やかなイメージなのですが、そこにフローラルの華やかな上品さが重なり、後に、スモーキーな大人のアンニュイな雰囲気。イリスは、私は何故か苦手とするところなのですが、この香水はイリスの残香が絶妙だと思います。
第3位
チュベローザ / ニシャネ
パフューマー ジョージ・リー
投票に添えられたコメント
・香りが豪華で贅沢!以前地引先生にパーソナルフレグランスで選んで頂き大好きな香りになりました。ガーデニアの香りも入っていて今回の一位に選ばせていただきました。
・寒さのせいか、スケジュールが混み合っているせいか…チュベローズの甘い香りに癒やされてしまいます。濃厚な香りが今の私には必要なようです(笑)
・ムエットを袋から出した瞬間から、あ~好き!!と瞬間的に感じ、やはり私は色々迷走しても、フローラルが一番好きなことは変わらないんだなって思えた1本でした。
・プラチナ製のスカーフ。纏う人を”特別”にする洗練された輝きとパワーを持つ香り。
・チュベローズというより苦みジャスミンです。心地よく万人受けする香りではないけれど、綺麗すぎないから惹きつけられます。
・ずっと深呼吸していたい
・今回のエントリーの香りの中で、自分の身体(お鼻センサー)が好きだと感じました。気持ちが穏やかになってしみ込んでいき、心も身体も安定する印象でした。様々な日常に疲れているのか(苦笑)こういう感覚を身体が欲していると自己分析しました。
・ラストのチュベルーズがとても美しくいつまでも香りを吸い込んでいたいと思います。チュベルーズの王道フレグランス。
第4位
ジャルダン デ モゥ / エディット
パフューマー アレクサンドラ・カルラン
投票に添えられたコメント
・先ずは「リミックス」という発想に拍手。オリジナルの香り(=ジャルダン トーキョー)は非常に印象的ですよね。都会の埃っぽさ、メタル感、人混みや車のクラクション、摩天楼の夜景などなどイメージするのですが、とても洗練された印象ながら反面好みの分かれるところ。こちらはとにかくガルバナムのグリーンがストレートに伝わり、混じり気のない庭園感に圧倒されます。ヒンヤリとした空気にビッタリ。真冬に纏いたいですね。
独自路線を突き進むエディットに拍手。
・なぜか落ち着く
・グリーンや草木のナチュラルな香りに惹かれました。
ホワイトフローラルとグリーンは大好きな香りなので、ベッドフレグランスとして纏うと良い眠りにつけそうです。
・いつも違うお花の香りを感じる不思議な香水。
ジャルダンの名のとおり、たくさんの種類の花が咲く花園を歩いている気分になれます。
閉鎖された空間よりも、外に出かける時に纏う方が個人的には楽しめます。
・diptyqueのmousse苔の香りが好きでこれの香水バージョンができたらいいのにと思ってました。
その後なんとか自分で苔の香りを探しビュリーのリケンデコスにたどり着きましたがジャルダンデモウはもっと自分の好みでした。
苔の中なのにフローラル。苔なのに色気がある!柔らかく軽やかなジャスミンを感じるところにも惚れています。
これは毎日つけられる香りと直感し銀座SIXでその場で購入を決めました。
第5位 – 1
アン ポワヴル / オブヴィアス パフューム
パフューマー アメリ・ブルジョワ、アンヌ=マリー・べハーゲル
投票に添えられたコメント
・オブヴィアスは今だからこそのブランドで、やはりこちらはベスト3に入れない訳にはいきません(笑)
何もかもがサスティナブルなわけで「意識高い系」とでも言いましょうか(笑)香りも「誰かのためではなく自分のために」のコンセプト通り、白いTシャツのように気軽で軽やかで…それでいて上質。
アンポワブルは4番バッターですね。これだけスパイスが入っていれば、涙が出るほどスパイシーかと思いきや、そこはまあ恐ろしく程々に良い塩梅(笑)ホットにもクールにも感じられ水陸両用。
ある意味玄人好みがするというか、絢爛豪華、インパクトドカンでは無い分、上級者に好まれるブランドだと思います。それだけにちょっと売りにくいのかも…とは大きなお世話。
・流行りに合わせて甘さを足してしまいそうですが、スパイシーを貫く潔さが新鮮です。
・ブラインドで選んだあとに説明を拝見したのですが、いずれもシンプルながらも洗練された雰囲気を感じました。肩の力が抜けたエレガンスといいますか。。
・スパイシーなウッドの香りは、トップやミドルはやや濃厚で重みがありますが、ラストにかけてのスパイシーな残香の中で温かさを感じるウッドの調和が好きです。
・とにかく大好き。毎日持ち歩いています。
エネルギッシュなのに荒々しい感じではなく美しく、またクラシカル感があるのに重くなくエアリーに仕上がっていて、お家時間にも仕事の時にでもいつでも纏っていたいと思える香りです。
全く香り疲れをしない香水だと思います。
・こちらもブラインドで嗅いだ時に柑橘なのに柔らかくてボトルのデザインやコルクも好みでした。
※5位も獲得ポイントが同数となりましたので、1位に選んだ方の数が多い方を5位 – 1 とさせて頂きました。
第5位 – 2
ニュイ ドゥ ノエル / キャロン
パフューマー エルネスト・ダルトロフ
投票に添えられたコメント
・香水の中の香水という幼い頃から脳の中にある香りです。
・軽いけれどきつい香りが多い今、重いけれど疲れないクラシカルなフロリエンタルっていいなと思いました。ムエットだとフローラルブーケを長く楽しめ、肌にのせると温かみのあるお香っぽく変化し秋冬に楽しみたい香りです。
・いつまでもこのような華麗なる香りの世界があってほしい。
記憶の香り。
細部まで美しく高貴。
【講評です】
今年もランキングは白熱しました。コロナ禍2年目ということで未だ続く閉塞感の中で少しでも心地よい感覚を求めながら『自分と香り』という視点を強く持って投票された方が多かった様です。香りで動かされた気持ちを、感じたままにシンプルに表現される方、また400字近くに及び文章で様々な観点から香水を取り巻く環境まで詳述しつつ香りの評価を下さる方など、表現の仕方は異なっても、投票時に感性溢れるレビューを寄せて下さる方が多かったことに、まずは心から感謝申し上げます。
ラコゼット パフュメ には30年以上香水を愛用されている会員様が多いために、百貨店にコーナーを持つコンサバティブな香水ブランドの新作香水に例年人気が集まりがちでしたが、今年はニッチフレグランスブランドの香水が新鮮な驚きだけではなく、現在の日本のフレグランスマーケットでも確実な位置を占めてきたが故の人気を得て、しっかりとランキング入りしてきました。
伊勢丹 新宿店で開催されるサロン ド パルファンで欧米、日本のメゾンフレグランスブランドへの注目が始まり、日本のニッチブランドがブースを構えて認知と人気を得始めたのが2018年。また、2020年秋、2021年夏、秋と、商業施設 GINZA SIX で回を重ねて来たフレグランスイベント La touche finale parfumée(ラ トゥシュ フィナル パフュメ)では、香水の作り手や代理店の方々から直接香りの説明を受け、セレクトする喜びを感じる消費者の姿に新しい香水購入のイベントが誕生したと感じました。今年はSNS上で「La touche finale parfumée(ラ トゥシュ フィナル パフュメ)で購入した香水を使い切りました。2本目を考えています」と発信される方も多く見られ、若い人々の間でも出来るだけ数多くの香水を手元に持ちたいという傾向から、選び抜いた1本を十分に愛つつ使い切るという行動が見られるようになったことはたいへん喜ばしいことです。2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標 SDGSの目標12「つくる責任、使う責任」では「持続可能な方法で生産し、責任をもって消費する」ということが挙げられています。まだ食べられるのに捨てられる食べ物のことや、食べ残し、賞味期限切れで捨てられるなどの食品ロスが問題として指摘されていますが、フレグランス界においても大規模な予算を投じたマーケティングによって世界的な流行が生み出され、それが流行しているから購入する、といった大量生産・大量消費を暗黙のコンサンセスを基にした流れから、自分自身が香りに感動したから、や、今の自分にはこの香りが必要であるといった消費者の強い自覚に伴う購入理由や、作り手の意識に触れて応援購入したい、といった現況の消費行動における意識と変化が如実に現れた年となりました。
また、初めての香水は海外からのお土産でした、というお声や、両親と百貨店で、友人と量販店で、という入手方法以外にSNS上で「ファーストフレグランスは鼻の店(=NOSE SHOP)で購入した」という投稿が見られ始めたのも2018年頃からでした。香水に付随する「ラグジュアリーな少し特別なもの」、というイメージを避ける在り方で存在し、人々がカジュアルな気持ちで自由に香水と触れ合うことが楽しめる場として、NOSE SHOP(ノーズ ショップ)の影響力が増大していることがわかります。アクセスしやすいロケーションにあるセンスの良い香水店にふらりと立ち寄る、その様な「香水が日常にある」というライフスタイルはコロナが落ち着いた後にはさらに多くの消費者から支持されるでしょう。
また販売チャネルとして、Eコマースは常識となり、重要性はさらに増加しています。今回ランキング入りした香水も「香りを試さずに、サイト上で香りの解説を読んでブラインド購入(=試香せずに購入すること)してとても気に入った」というお声が聞かれました。コロナ禍においてはムエット配送のサービスが(バブル期のそれとは別の意識を基にして)ニッチ・メゾンフレグランスのブランドを中心に有償、無償で行われていますが、公式サイトが発信する情報の精度、美しさもまたとても重要です。
ラコゼットパフュメの毎月の『香りのおしゃべり会』ではコロナ禍の苦肉の策として、各会員様が愛用している香水をリモートで紹介し合う回を開催しました。そこで素晴らしさをシェアしあった香水がグランプリの投票でも人気を博し、そのうちの二つがランキング入りしました。
エデン ロック / メゾン クリスチャン ディオール は、9月の香りのおしゃべり会『今、お気に入りの香水を紹介します!』で、会員様のお気に入りの香水をご紹介して頂いた中のうちの1本でした。コート=ダジュールの青い海、潮風、レンティスクの葉の香りにカクテルのココナツ、そして南仏でも指折りの豪華なリゾートホテルに降り注ぐ輝く太陽、そしてそこに漂う幸福感を詩的に描き出した香りです。海外渡航が難しい状況が続く中、香りを嗅ぐと眼前に夢のリゾートが現れる、素晴らしい香りに魅入られた方が多かったのです。今年でディオールのメゾンパフューマーを引退するフランソワ・ドゥマシーのテクニックに感激し、彼が愛する南仏の豊かさを描き出すテクニックに感銘を受けた方が多かったのです。
1位の獲得ポイントが同数で ベチバー アンフィニ / キャロン も多くの会員さまから支持されました。リブランドした老舗『キャロン』は、10月27日から伊勢丹 新宿店でスタートした『サロン ド パルファン 2021』でお披露目となりました。以前からのキャロンの香水ファンも、初めてキャロンを知った若い方にも、香りもボトルも大好評でした。自身もジャズを演奏するジャン・ジャックが音のずれの面白さをべチバーとアイリスという香水の要とも言える香料の組み合わせで表現した結果、ジェンダーを超えて人気を得ました。メンズフレグランスのイメージが強いベチバーをテーマにした香水が、女性会員の多いラコゼット パフュメのランキングで1位になったのは、香りのバランスの良さと、纏う人の嗜好の変化でしょう。賦香率が高いのに軽やかな、現代性溢れる香りです。
チュベローザ / ニシャネ も、9月の香りのおしゃべり会で会員様がおすすめ香水として紹介された香水です。2012年にトルコ共和国の最大都市イスタンブールで創設された高級ニッチフレグランスブランド ニシャネ のこの香りは、賦香率30%超という高濃度で贅沢に調香され、ロングラスティングであることが特徴の一つです。香水の初心者の方にも好まれ、調香を学ばれたセミプロの方からも高く評価された香りです。特にフローラルノートの香水ががお好きな方は、この香りを1位にされました。来年のランキングでは香りのノート毎に部門賞を設定することも必要かと思わされた結果でした。
ジャルダン デ モゥ / エディット は2018年にパリでローンチした日本のブランド ÉDIT(h) エディット の今年の新作です。オーナークリエイターの葛和 建太郎 様には、2月の香りのおしゃべり会のゲストにお越し頂き貴重なお話をお伺いしました。葛和氏独自の音楽的調香メソッドを理解したパフューマーが調香した『ラ コレクション リミックス』のシリーズ全4種のうちの一つです。エディットのアイコン的な香水、グリーンで凛とした清潔感のある『ジャルダン トウキョウ』が、ミュージシャンが原曲を称えながらも、使用する音色やリズム体を変えて新たな楽曲を創作するように、新たな解釈を用いた作品へとして発表されたのが『ジャルダン デ モゥ』です。庭が目覚め、活動し、植物が語り合うような、ナチュラルでありながら自然界に存在する華麗さを想起させる香りが支持されました。
アン ポワヴル / オブヴィアス パフューム が一番好き、という方が2名いらしたことで、世界の共通認識となったジェンダーレス、ダイバーシティといった様な潮流が ラ コゼット パフュメにおいても受け入れられてきたのかと、驚きつつ再認識しました。この香りは、ボクシングのトレーニングに熱中しているブランド創始者のデヴィッド・フロサール氏自身が一番お好きな香水と伺っていたので、マスキュリンな香りという印象があったからです。でも歴史のある香水の良さを知っている人ほど、新しい香水の魅力も敏感に嗅ぎ取るのかもしれないですね。ラ コゼット パフュメの会員間における『エレガンス』という感覚の変化が感じられて、個人的には最も興味深い結果でした。
新作フレグランス、ニッチフレグランスの並ぶ中でも現在は製造中止となった、クラシカルな ニュイ ドゥ ノエル / キャロン もランキング入りしました。会員さまの間では愛用されている方も多いですし、初めての方には、3月の香りのおしゃべり会のテーマ『香水の歴史 – 太古から1930年まで』で1920年代に発売された香水としてご紹介した際の印象が強かった様です。リフォーミュラされているとしても現在も発売され、愛されているクラシカルな香水は多くあります。パリの老舗フレグランスメゾン キャロン の新旧の香水が共にランキング入りしたのは、今年を象徴するようです。
長引くコロナ禍の影響により、フレグランス界も原料の植物の育成の場から香水店の店頭まで、様々な影響を受けています。新製品発売や周年記念のイベントなども大々的には開催しにくい状況が続いています。その様な中でも良い香水の魅力は必ずと伝わっていくものだと、感じた年でもありました。
最後に、今年も『ラ コゼット パフュメ パルファン グランプリ』に多大なるご協力をいただいた皆様に、心から感謝申し上げます。