クープ グラッセ イスパハン / ピエール・エルメ
香りで元気になった、そんな経験をされた方は多いのでは? 香りだけでなくそこに素晴らしく美味しい味が一緒だったら? 緑や青い空を見ながら、滑らかな舌触りを感じ、静かに触れ合う食器の音を聴きながら満ち足りていくひと時。ピエール エルメ パリ 青山の2階にある Salon de thé Heaven (サロン ドゥ テ ヘヴン)では、美味しいアシェット デセールを頂きながら五感を満足させることが出来ます。メニューの中でも素晴らしいのは、ピエール エルメ パリの代表的なフレーバー『イスパハン』をパフェ仕立てにした『クープ グラッセ イスパハン』。ローズの香りをお菓子に生かそうと考えたピエール・エルメは、まずローズとキャラメルが合うことを見つけます。それからローズと、香りにどこかローズと共通点のあるフランボワーズはとても良い組み合わせであることを発見します。さらなる味覚の可能性を追求していく中で、ローズと、フランボワーズ、そしてライチのコンビネーションにたどり着きました。
Salon de thé Heaven (サロン ドゥ テ ヘヴン)でまずサーブされた紅茶、『テ イスパハン』を一口頂いて、夢の様なローズの香りで鼻と口を軽く楽しませます。
ところでなぜこの有名なお菓子は『イスパハン』という名前なのでしょうか。それはピエール・エルメが所有する本に載っていた、壮麗な庭園をもつイランの都市『イスパハン』で得たインスピレーションにより名付けられたのです。そしてその本は、ピエール・エルメのお菓子に感動した、イラン最後の皇后であるファラフ・ディーバから彼に贈られたものでした。
メゾンを代表する『イスパハン』。アンディヴィ(一人用サイズ)、アントルメ(ホールケーキサイズ)をはじめ、チーズケーキやミルフィユ、ボンボン ショコラ、マカロン、サブレ、そしてクロワッサン、マドレーヌなど18種類のお菓子が作られてきました。その中でも『クープ グラッセ イスパハン』は香り好きな方にとって、『イスパハン』の香りの世界を最も感じることのできる逸品です。
甘やかで香り高いローズに指揮されながら 、ほんのりローズ調の香りがありながらも酸っぱさと活気を感じるフランボワーズと 、ローズに似た香りとかすかに硫黄のような匂いがありつつ甘酸っぱくフルーティなライチが、ハーモニーを奏でます。脂っぽさを感じさせずに、ほのかなミルクの香りがノスタルジックな気持ちを思い起こさせるシャンティ(生クリーム)。ローズ風味のライチのソルベが喉を通っていく時、喉から鼻に抜けるレトロネーザル経路を通る香りを豊かに感じる時、まるで喉にバラの花が咲いた様な感覚になります。最後に溶けてフランボワーズソースと混ざったフランボワーズのソルベの中のライチを噛み締めると豊かな果汁があふれ出します。
ふわりと乗せられている食べられるローズの一片の花びらにはシロップが一滴、朝露の様に留まっています。最初に頂いても良いですし、紅茶に浮かべて楽しんでから最後にでも。少しの苦味にバラの命を頂く感覚を覚えます。口の中で甘さがほどけるようなマカロンローズのスティックを口直しにすると良いでしょう。
こちらはマカロンの『イスパハン』と『アンフィニマン ローズ』。似ていますが『イスパハン』は少し赤色が強く斑らな色合い。『アンフィニマン ローズ』のクリームは魔法の様に軽く、ローズエッセンスの軽い苦味を消すビスキュイの部分の甘さがちょうど良いです。
画像の書籍は『AU CŒUR DU GOÛT(味覚の核心で)』。『イスパハン』はなぜそれ程までに人気なのですか?という問いに「《Parce que c’est bon! Cela s’appelle le goût du bon.》なぜなら美味しいからですよ!良い味だと言われるからです。」と答えるピエール・エルメ。「ピエール・エルメはいつも《mettre du parfum sur une tarte》『タルトの上に香りをのせる』のだね。ローズとフランボワーズとライチのコンビネーションは香りの黄金比だ。」と言うジャン=ミッシェル・デュリエ。4代続くパティスリー・ブランジュリーの家に生まれた天才パティシエと、12歳の時の母の日に一人で香水店に行って母親にぴったりの香水をプレゼントし、何年か後に母親が自分を産んだ時にその香りを纏っていたことを知った調香師。2002年に出会った二人は2005年、この本の実現に向けて対話を始めます。ピエール エルメ パリのお菓子のレシピと、味覚と香りについての二人の対話が掲載されています。
今やその素晴らしさと人気から『お菓子の世界のモナリザ』と言われる『イスパハン』。誰もが憧れるのは「味覚と香りの黄金比」を感じるからでしょう。
『テ イスパハン』は950円(本体価格)。『クープ グラッセ イスパハン』は1,800円(本体価格)。サービス料(本体価格の合計の12%)と、消費税がプラスされます。メニューの内容は季節によって異なり、また、店舗の貸切等の場合もありますので、詳細はお店に直接お問合わせください。
ピエール エルメ パリ 青山 Salon de thé Heaven
https://www.pierreherme.co.jp/boutique/aoyama/