review 0036 : シニョリーナ ミステリオーサ / サルヴァトーレ フェラガモ
【香水名】 シニョリーナ ミステリオーサ / Signorina Misteriosa
【ブランド名】サルヴァトーレ フェラガモ / Salvatore Ferragamo
【発売年】2016年
【パフューマー】ソフィー・ラべ、ニコラ・ボーリュー、ジュリエット・カラグーゾグル / Sophie LABBE、Nicolas BEAULIEU、Juliette KARAGUEZOGLOU
【香りのノート】オリエンタル フルーティ
【香りのポイント】ワイルドブラックベリー、ネロリ、チュベローズ(月下香)、ブラックヴァニラムース、ホワイトパチョリ
【レビュー対象商品】 オードパルファム 30ml 8500円(本体価格)
【公式サイト】https://www.kawabe.co.jp/fragrance/ferragamo/Signorina_Misteriosa.html
※レビュアーが実際に試香した製品のみ記載しています。価格はレビュー当時のものです。
全てを一瞬で出来たらどんなに便利で気楽か、想像したことのある方は?人生で一度もないという方は、限りなくゼロに近いはず。一瞬で着替えて。一瞬でメイク。納得いくまで何度も瞬間チェンジ。そして一糸乱れず一瞬で目的地へ到着。そんな魔法があったなら、忙しい現代女性の多くは一日の大半をご機嫌で過ごせるのではないかと思う。今回ご紹介するのは、『サルヴァトーレ・フェラガモ』の『シニョリーナ ミステリオーサ』。この香水名、なんだか呪文のように聞こえないだろうか?
『サルヴァトーレ・フェラガモ』は、創業者が自身の名前を冠して1927年に設立したイタリアの靴ブランド。フェラガモはアメリカで解剖学を学び、足に優しい、履き心地の良い靴の製作を信条としており、これは現在まで受け継がれている。一方で、プラットホームシューズにみられるような画期的なデザインを次々と世に送り出し、デザイン性と機能性、ステータスを感じさせる高級感を兼ね備えた靴は世界各国の王室やセレブを魅了し続ける。マリリン・モンローやオードリー・ヘップバーンも愛用者だったのは、御存知の方も多いだろう。
ブランドの定番に“ヴァラ(Vara)”という靴がある。メタルのバックルに幅広のハリ感のあるリボンが足の甲の部分についているのが特徴で、このリボンは“ヴァラ・リボン”と呼ばれる。ブランドのアイコン的存在のこのリボンは、『シニョリーナ ミステリオーサ』のボトル上面にも飾られている。ガラスと布の異素材コラボ。シンプルな四角い黒ボトルにピンクゴールドの丸いキャップと印字。『シニョリーナ ミステリオーサ』の名の通り、小悪魔的でつかみどころのない雰囲気だ。
ボトルから飛び出した香りは、かわいい小悪魔というよりも美しい魔女。映画マレフィセントでアンジェリーナ・ジョリーが主演していた“マレフィセント”のイメージが浮かんだ。ご覧になった方はご存知だと思うが、妖艶で気高く、強く、そして悪のイメージに反して優しいのだ。トップは、野性味のある甘酸っぱいベリー調と苦味のある柑橘系の香りで、甘いけれどやや爽やか。次第に、夜の女王と呼ばれるチュベローズの濃厚な甘いフローラルが艶やかに大胆に香る。バニラの温かい甘味に全体が包み込まれ始めると、香りに丸みがでて柔らかさが加わる。漆黒の美しさ・気高さとピンクゴールドの優しさ・温かさを感じる香りは、ボトルのイメージとぴったりと合う。全体の印象は、空気の冷たい冬の夜が一番似合いそうな、催淫効果を感じる甘い優美な香りだ。フルーツジャムやお菓子のような甘い香りが得意ではない方でも、程よいフローラルとバニラの甘さに魅了されそう。
両手首にワンプッシュずつしたが、最初こそ香りを強く感じるものの、5分も経てば全体的に温かく柔らかく香るようになる。約6時間程度で、手首が鼻の近くを通った時にかすかにバニラムースのような香りを感じる程度に弱まってくる。僅かに残った香りが眠気を誘うように心地よい。
ヴァラ・リボンは、フェミニンと大人のきちんと感のあるハンサムスタイルに合うデザイン。『シニョリーナ ミステリオーサ』もまさにそう。いとも簡単に貴女をハンサムウーマンにしてくれる。本物の魔法使いにはなれないけれど、一瞬
で貴女の気分を変え、魔性生を引き出してくれる”魔法の秘薬”のパワーを体験してみては?
レビュアー 新咲 清香 Kiyoka NIISAKI 2019年1月