review 0024 : ティファニー / ティファニー
【香水名】ティファニー / TIFFANY & CO.
【ブランド名】ティファニー / TIFFANY & CO.
【発売年】2017年
【パフューマー】ダニエラ・アンドリエ / Daniela Andrier
【香りのノート】フローラル ムスク
【香りのポイント】グリーンマンダリン、アイリスフラワー、パチュリ、ムスク
【レビュー対象製品・価格】オードパルファム 75ml 15,000円(本体価格)
※レビュアーが実際に試香した製品のみ記載しています。価格はレビュー当時のものです。
オードリー・ヘプバーンの代表作として必ず名前のあがる“ティファニーで朝食を”。ついに憧れが現実になると話題となった“The Blue Box Café”が、ニューヨーク5番街のTiffany &Co. 本店に登場したのは2017年秋と記憶に新しい。インテリアだけではなく、食器、カトラリー等にもティファニー・ブルーが使用され、そのこだわりと美しさに魅了される人が後を絶たないようだ。カフェが開業する少し前に、『Tiffany&Co.』から発売されたフレグランスが、この度ご紹介する『ティファニー』。
“『Tiffany&Co.』が15年ぶりの新作発表”と聞き、アクセサリーの復刻版が発売されるのかと思ったらフレグランスだという。このニュースを知るまで『Tiffany&Co.』のフレグランスの存在を全く知らなかった。創業180周年を記念して発売される15年ぶりの新作で、しかも名前はブランド名をそのまま冠した『ティファニー』。どういう香りなのか知りたくなり試すことにした。
『Tiffany&Co.』といえば、銀製品や宝飾品で有名なのはご存知の通り。随分と昔の話になるが、周囲でオープンハートのネックレスが流行していた記憶もあり、比較的身近に感じられるブランドではないかと想像する。ギフトとして贈った記憶やプレゼントされた記憶等、皆様もお持ちではないだろうか?
老舗ジュエリーブランドにふさわしく、まずボトルが目を楽しませてくれる。透明のガラスボトルにはカットが施されていて光の反射がまぶしいほど。中の香水自体も透明なので、ボトル全体がさながらダイヤモンドのようだ。『Tiffany&Co.』のアイコン的なブルーボックスにおさめられたボトルは輝きを増し、ネック部分のティファニー・ブルーとロゴが存在感を際立たせる。「香りも重要だけど、見た目も譲れない!」という方も満足する美しさ。フォトジェニックであることは間違いない。
香りも存在感が強い。最初は、まだ熟していない青みかんのような酸っぱさと、外皮の青っぽい苦みを僅かに伴った爽やかな香り立ち。トップが落ち着いてくると、微量の甘さを含んだアイリスフラワーがより前面に、そしてダイレクトに感じられるようになる。アイリスの花は青~青紫色をしているが、このアイリスフラワーの香りから感じられるのは無色。脱色と精製工程を何度も繰り返して極限まで余計なものを排除し、綺麗であるがゆえに無機質な冷たさを印象付けるような雰囲気が潜む。この冷たさを、ムスクが温かな落ち着きを微かに添えて、緩和しているような印象。ただし、“静”のイメージではない。積極的に前に出てくる“動”のイメージだ。時間の経過による変化が少ないシンプルな香りで清潔感も漂う。合理的に存在をアピールするような、ブランドの出身であるアメリカを意識させる香りだ。シャンプーやボディソープ等の香粧品に似た香りのようにも思えるが、香り自体のストレートさ・洗練度・存在感は別格。普段身近で出会う香りのようで違う。『ティファニー』の計算され、研ぎ澄まされたシャープな香りはダイヤモンドそのもの。女性の強さと輝きを華やかに演出してくれる。
率直に言うと香りの変化を楽しみたい方には物足りず、そしてダイヤモンドの放つシャープな光に一瞬目がくらむように、”ツン“とした香りがストレートに鼻に飛び込んでくるのを苦手と感じる方もいるかもしれない。また、『Tiffany&Co.』の客層として、比較的若い世代が多いイメージも手伝い、『ティファニー』も若い世代向けと思われがちだと推察する。しかし年齢にとらわれず試してみて欲しい。記憶にある1990年代から現在までの米国ファーストレディから『ティファニー』の香りがしても違和感はないように思う。
香り立ちは勢いがあり、鼻の奥をストレートに刺激するが5分も経過すれば落ち着いてくる。1プッシュずつ両手首につけてみたが、2~3時間はしっかりと香りを感じられる。5時間位経つと、肌から約5cmの距離に鼻を近づければ香りを感じられる程度に弱まってくる。ダイヤモンドと同じように季節を問わずにつけられる香りだ。
記憶が正しければ、『Tiffany&Co.』のダイヤモンドは、4C(カラー、クラリティ、カット、カラット)の他に“存在感”を評価基準としているとどこかで聞いた記憶がある。『ティファニー』の香りも、ダイヤモンドの強い煌めきのように、まぶしい存在感を放つ。ダイヤモンドは“永遠の輝き”。そして香りのダイヤモンド『ティファニー』は“貴女だけの輝き”。香りのジュエリーとして、ワードローブに加えてみては?
レビュアー 新咲 清香 Kiyoka NIISAKI 2018年7月