review 0004 : レーヴ ドゥ ラ レーヌ / アーティフレグランス バイ エリザベット・ドゥ・フェドー
【香水名】レーヴ ドゥ ラ レーヌ / Rêve de la Reine
【ブランド名】アーティフレグランス バイ エリザベット・ドゥ・フェドー/ Arty Fragrance by Elisabeth de Feydeau
【発売年】2014年
【パフューマー】エリザベット・ドゥ・フェドー、アレクサンドラ・モネ / Elisabeth de Feydeau, Alexandra MONET
【ノートの分類】フローラル
【香りの構成】ベルガモット、ローズ、ムスク
【レビュー対象製品価格】オードゥパルファン 100ml €129
【公式サイト】https://www.arty-fragrance.com/
※レビュアーが実際に試香した製品のみ記載しています。価格はレビュー当時のものです。
※画像はブランドから掲載許可を頂いております。 / The use of this picture has been kindly permitted by Arty Fragrance by Elisabeth de Feydeau.
アーティフレグランス バイ エリザベット・ドゥ・フェドー(Arty Fragrance by Elisabeth de Feydeau)は2011年に、18世紀のヴェルサイユにおけるフランスの洗練された芸術文化をテーマにし、それを現代流にアレンジしたエリザベット・ドゥ・フェドー氏のブランド。エリザベット・ドゥ・フェドー氏は、香水が好き、マリー・アントワネットが好きな方は一度は目にし読まれた方もいるかもしれない、「マリー・アントワネットの調香師~ジャン・ルイ・ファージョンの秘められた生涯(原書房)」の著者としても有名。パリ生まれの彼女は、ソルボンヌ大学で歴史学を学び、香りに関する論文で飛躍。ヴェルサイユの有名な調香学校ISIPCAで教鞭をとりフランスの数々の有名香水ブランドのコンサルタントや開発にも携わっている。前述した著書以外にも多数の本を執筆。余談であるが個人的には先日パリでゲランに関する彼女の著書「Le roman des Guerlain(2017年)」を購入したばかり。もちろん、フランス語。読破できるのであろうか…そんな不安よりもチャレンジ精神を後押ししてくれる香り好きには見逃せない内容で存在するだけでも美しい本である。ご本人もまさにお美しく深い知性漂うエレガントなフランス女性である。
そんな彼女のブランドの香水、Rêve de la Reine レーヴ ドゥ ラ レーヌ「王妃の夢」。名前だけでも心に輝きを帯びるが、ボトルの輝きは秀逸である。
18世紀当時のボトルのフォルムである丸い吹きガラスに、金色の漆をかけて制作。手に取る喜びを感じずにはいられない。クラウンのロゴも繊細で魅力的。
そして大切なポイント。このボトルは、両手を使わないと香りを纏えない。つまり、手に取るところから丁寧な美しい所作が始まり、纏う仕草をとても優雅に美しくみせてくれるのである。纏う本人もここで美しい優雅な儀式の始まりをはっきりと認識するであろう。
香りは、マリー・アントワネットの調香師、ジャン・ルイ・ファージョンがマリー・アントワネットのために創作した香水を現代調に蘇らせた、まさに本当の王妃の香り。華麗で品を纏える。美の精神レベルを引き上げてくれる。それが出逢った時の第一印象である。
お肌にスプレーし、まず感じられるトップの香り。目の前には晴れ渡る青空、木々、果実、花々が咲き誇る広大な庭園から、心地よい風が窓に佇むこちら側に入ってきて白い艶やかなレースのカーテンを揺らしている。プチグレン、オレンジなどの若々しい青さやベルガモットの冷静さと花々の可憐な香りを運んだ風を薄いピンク色の大きなヴェルヴェットのリボンで結びブーケにしたような香りが広がる。エレガントさの中にチャーミングな笑顔が浮かんでくるような香り。
ミドルになると、トップの余韻を残しながら、たくさんのローズを浮かべたお風呂上りのお肌に上質なふわふわのパフでローズのパウダーをお肌にのせているかのような香りに。みずみずしさの上にパウダリーヴェールをふんわり纏ったような優しい高貴なエレガンスに変化していく。
ラストでは、そこにベンゾインやトンカビーンの甘みを軽やかに感じつつ、サンダルウッドの安定した意思の強さやゆるぎない芯が現れ、ムスクの艶やかさが静かに香る。
全体的に肌の上で高貴でゆるやかなクラシカルな時間がめぐる。花々のブーケが大人になりすぎず時に純粋さをみせたかと思えば、王妃たる華やかな品格もさらりと表現してしまうRêve de la Reine 王妃の夢。空気が乾燥している季節に纏うとより美しく香るように思う。特に初春、秋、冬におすすめしたい。
この香水を纏うと、目に映るものが丁寧な感触を施すレンズを通しているかのような視界になる。何気ない日常のささやかなことがあたたかく幸せに感じられたり、これまで気付かなかった美しいものに出逢えたり。余裕を心に持たせてくれるのである。今のこの瞬間を大切に過ごし積み重ねていくことで日常が愉しくなり、麗らかなエネルギーが外側に溢れ出し、周りの人をいつの間にか魅了してしまっている、そんな心にじんわりと浸透する効果の高い美容液のような香水である。更に、順調な時はより輝きをもたらしてくれ、そうでない時は明るい光を見つける手助けをしてくれるようで、自分自身と丁寧に向き合える感覚を憶える香りであり、身近な存在だけれど常に憧れを抱き続けさせてくれる友人のような存在でもある。なんとなく、なんとなくだけれど、心だけでなく美肌効果もあるような思いにさせてくれるところも好き。
初めて試香した日からこの香りが忘れられず、Arty fragranceの公式ホームページから購入。対応はとてもフレンドリーでスピーディ。あっという間にヴェルサイユから東京の自宅に届いた。購入時のささやかなやりとりがとても好印象でその素敵な思い出と共にある大切な香水のひとつである。
レビュアー 五郎丸 惠 Megumi GOROMARU 2017年10月